2011/10/31

DIY Speaker (43)

リカバリー作業の終了後フリースの生地の張り方を検討しました。
何度も何度も張りなおす。








4分割で張るのは難しく、思い切って大きな1枚で張ってみました。
フリースの1辺のサイズは120cm以上がよいと思います。
このフリースには中央に穴をあけます。
穴の直径は180mmと型材の穴の直径と同じがよかった。







布の生地の織り目の方向をきちんとホーンの上下方向と揃えます。
最初に穴の周囲をタッカーで固定。
それから同じテンションで引っ張りながら外縁をタッカーで固定してゆきます。
何度もやり直しながら張り加減を均一に。






皺もなく綺麗に張れました。


2011/10/28

DIY Speaker (42)

カッターでエポキシ樹脂で固めた伸縮布を切除。
紙管はサランラップ(cling film)で覆われているのでフリースは紙管にくっつかず簡単にはずせました。







ドライヤーで加熱しながら丁寧に剥がしてゆきます。
リカバリー作業はどんなものでも時間がかかるものです。





短気をおこさず、ゆっくりじっくり。
(このときドライヤーで指先をヤケドをし、その痛みとともにこのプロジェクトが頓挫するであろうことを考え暗澹たる気持ちになったことを付記しておこう。)













今回のDual Directivity Circular HornのプロジェクトはALTEC MR94、M94Aの影響が大きいです。
音が素直でありホーンキャラクターを感じさせません。

MR94、MR94Aは複合型コニカルホーンです。
スロート部、第1ベル部、第2ベル部、第3ベル部から構成されています。
スロート部から第3ベル部まですべてコニカル型。

スロート部もコニカル型である旨はU.S.Patent 4187926にも記載があります。

この米国特許にはこんな記載があります。
"The separation between walls 15a and 15b of the throat section at their juncture with bell section walls 21 and 22 should be no greater than the wavelength of sound at the highest frequency to be controlled.
It is also important to note the divergence angle between walls 21 and 22 is substantially greater than that between walls 15c and 15d, and that the vertical mouth dimension may be made greater than in a normal horn designed for the same coverage angle.
This enables better vertical directivity control at low frequencies of interest in a speaker of normal physical proportions."
(ベル部壁面21、22と連結しているスロート部壁面15a、15bにより形成されている間隙の幅は、指向性コントロールを受ける最も高い周波数の波の波長の長さよりも幅広くなってはならない。
また、ベル部壁面21、22の広がり角度は、スロート部壁面15c、15dの広がり角度よりも十分に大きいことが重要である。
これにより標準的なスピーカーにおいて重要な低い周波数のより良い垂直指向性制御が可能となる。)

こうした記載を参考にしながらDual Directivity Circular Hornを設計しています。

ま た、Dual Directivity Circular Hornが円形であることは"By employing a square mouth, it is possible to achieve equal horizontal and vertical directivity roll off in the low frequency range of the horn."(ベル部開口を正方形にすることにより、ホーンの低域側における垂直指向性と水平指向性の均一なロールオフ特性を達成できる。)と同等の効果 を期待できます。

他にも"The use of planar sides for the bell section of the horn minimizes "waistbanding" effect (i.e., spillover of radiation or sidelobing).
The use of a bell section adjacent to the mouth of the horn which diverges at a greater angle than the main bell section minimizes beaming in the midfrequency range of the particular horn."(ベル部に平坦面を用いることにより"ウエストバンディング効果"(即ち、望ましくない側方への音の放射あるいは側方における指向性のロー ブ)を最小限にすることができる。
ベル部開口直前に主ベル部(第1ベル部)よりも広がり角度の大きなベル部(第2ベル部)を設けることにより、当該ホーンの中域におけるビーム現象を最小限にすることができる。)という効果もあります。

複数のスピーカーを使用する場合に重要になってくる-6dB落ちの範囲や、側方への指向性ローブを減少させることなどは、ホーンキャラクターとは関係ないと思われがちですが、そうではありません。
こうした特性もホーンキャラクターに影響を与えています。
理想的なホーンに近づくためには様々な要素を1つずつ改善する必要があります。
定指向性というのもそうした要素のひとつにすぎません。

Dual Directivity Circular Hornのプロジェクトは、定指向性ホーンを製作するということではありません。
定指向性ホーンがもたらした新たなホーンの考え方。
それをおしすすめてみたい。

定指向性ホーンの出現からすでに30年。
その後のウェーブガイドホーン等の現代的なホーン理論を参考にしつつ、ホーンの設計を自由度の高いものにしようというのがテーマのひとつです。
これから少しずつ説明してゆきますね。