2010/04/23

BMS 4592ND-mid

BMS社の4592ND-midは、推奨クロス300Hzの2インチ径スロートのミッドドライバー。
BMS社の4592NDのハイ用ドライバーを取り外したもの。
リング状ポリエステル製ダイアフラム、90mm径ボイスコイル、ネオジム磁気回路を搭載。







同社の4580NDと組み合わせるのはどうか、とか考えてしまいます。








Diameter: 2" (50.8 mm)
Nominal impendance: 8 or 16 Ohm
Power capacity (AES): 150 W AES above 400 Hz
Peak Power: 1000 W peak above 500 Hz
max. SPL (cont.): 136 dB at 150 W
Sensitivity 1 W / 1 m: 118 dB
Frequency Range: 200 - 9000 Hz
Recommended Crossover: 300 Hz
min. impedance modulus: 8.3 Ohm at 5 kHz
Voice Coil Diameter: 3.5" (90 mm)
Magnet Material: Neodymium
Flux Density (Tesla): 1.95
Efficiency: 35 % (300 - 5000 Hz)
Voice Coil Material: Copper Clad Aluminum
Voice Coil Former: Kapton TM
Diaphragm Material: Polyester








上の画像は、ボイスコイル径90mm、77mm、44.5mmのリング状ダイアフラムを描いたもの。
青線のボイスコイル径は正確ですが、ダイアフラムの内径外径はでたらめ。
でも、なんとなくイメージしたかったので描きました。

マルチアンプを組むようになると開発コンセプトにおいて広帯域型ユニットよりも狭帯域型ユニットの方が気になります。
例えば、4インチ径ベリリウムダイアフラム採用し20kHzまで…というようなユニットは狙いがあいまいで興味が湧かない。
4インチもの大口径なら300Hz程度のクロスでも十分な力感があることを期待してしまうし、一方、ツィーターの領域まで使用することは考えません。
だから、4インチドライバーの音質評価が、2ウェイシステム、あるいは、2ウェイ+スーパーツィーターのシステムで行われている場合、そういう評論はさっぱり参考にならない。
かといって、オーディオ雑誌に8ウェイや9ウェイで使用した場合の音質評価が掲載されていても、やっぱり参考にはならない。
このような規模のマルチアンプシステムの設定に慣れている評論家などいない。
それに大規模システムの場合、システム構成の考え方や帯域毎の音の好みが千差万別であり、評論などしても無意味だね。
う~む。

狭帯域型ユニットには設計に無理がない。
開発者の狙いがはっきりしている。
だから、魅力を感じるユニットが多い。
マルチで帯域を細分化するのは、こうした狭帯域型ユニットを使用したいため。
業務用スピーカーユニットマニアの性。

以前は疑問を持っていたチタンダイアフラムを見直しています。
チタンダイアフラムに3kHz以上の高域側まで任せると、これはウルサい感じがする。
しかし、3kHz以下ぐらいで限定すると非常に正確な音が聴ける。
アルミダイアフラムの音の弱さ、鳴きがない。
しかし、アルミダイアフラムはそれより高域側ならチタンより美しい。

JBL2446Hと2490Hの組み合わせはフルオーケストラの咆哮をがっちり再現する。
そして高域側を任せた2431Hの音は美しい。
これらドライバーに惚れてます。
だからJBLからBMSへのドライバー移行計画は悩ましいものの実現しそうもない…

BMSにこだわっているのは、JBL、ALTEC等の旧来からあるドライバーとは次元が異なると言っていいほど正確な音を持っていると思っているため。
JBL2408Hを約1年使ってみて分かったのは、現代的な樹脂系ダイアフラムを備えたドライバーの音は音の好みが云々というような話では語れないということ。
樹脂系だから柔らかいあいまいな音などど予想するなら、これは完全に裏切られる。
この小さな小さなドライバーは、エージングが進むほどに大きな信頼を勝ち得てゆく。

ドーム型のダイアフラムを備えたドライバーには将来が無いような気がしてる。
ドーム中央部と周辺部がばらばらの動きをして、精密な位相管理が不可能だからだ。
また、従来のコンプレッションドライバーでは、環状あるいは放射状のスリットを備えたフェイズプラグを必要とするが、これは本当に音を悪くしていることはないのだろうか?
BMSのドライバーは構造的にこうした問題を抱えていない。









話は戻るが"耳につく"という帯域は5kHz~10kHzである。
サ行の発音などの刺激的な音は、この帯域を中心として分布している。
FFT解析ソフトによる測定を、周波数特性の測定のみに使用するのは片手落ちだ。
音楽を再生させて、どのような音が、どのような帯域のレスポンスレベルを上昇させるのかを確認する。
多くのことを学べる。

この5kHz~10kHzという帯域は、4インチコンプレッションドライバーの不得意な帯域である。
そして、同時に、エクスポーネンシャルホーンやラジアルホーンが馬脚を露わしてしまう帯域でもある。
これらホーンの指向性は、この帯域で極端に狭くなってしまい、ビーム感を生じる。
これが4インチダイアフラムの分割振動域と重なり合う。
そして、耳から血が出るというような笑える表現も、この5kHz~10kHzという帯域がマトモに再生できていないことを指している。
この帯域は3インチ以下のダイアフラム径と定指向性ホーンが必須なのである。

スピーカーユニットと友達になりたいなら、すべてを望んではいけない。
そのユニットの最低域側、中間域、最高域側の3つの性質を理解しなければならない。
測定は当然のこと、クロスを変化させてそのユニットの持ち味を探らなければならない。
理解抜きに信頼関係は築けない。

ウーファーを考える場合、自作派は箱の容積を気にするが、それはユニットの最低域側を気にしているだけだ。
中間域の質感や、最高域側の素直さを検証し、どう生かすかを考える必要がある。
同様に、ホーンもカットオフだけを気にしていても道は開けない。
指向性が最低域側においてどのように変化するのか、中間域から最高域側にかけて安定しているのかが問題になる。
ブロードな指向特性を持つホーンやバッフルが付加されているホーンは最低域側の指向性が急変しにくい。
ホーンがだらしなければ、せっかくの高性能ドライバーが台無しになる。
逆に、ホーンが良くても、ドライバーの不得意な帯域で使用すれば散々な結果となる。

こうしてユニットの得意不得意を把握しながらシステムを練り上げてゆく。
これが大規模マルチアンプシステムの醍醐味。
最も高度かつ究極のオーディオだ。




お、ようゆうた、ようゆうた。






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